【元国税審判官】税務調査・審査請求・税務訴訟

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税金に関する処分への不服申立てお役立ち情報
 

税務署や国税局から追徴課税、重加算税その他の処分を受け、その内容に納得できない場合、納税者は、法律上の手続を通じて処分の取消しや変更を求めることができます。

税金に関する不服申立てには複数の手続があり、それぞれ審理を行う機関、手続の進め方、要する期間などが異なります。また、どの段階においても、単に処分への不満を述べるのではなく、争点を整理し、客観的な事実と証拠に基づいて主張を構成することが重要です。

本ページでは、税金に関する処分を争うための主な3つの手続について、それぞれの特徴、メリット・デメリット及び実務上のポイントを、元国税審判官として税務事件の調査・審理に携わった経験を踏まえて解説します。

*本稿のうち意見にわたる部分は筆者個人の見解であり、過去に所属していた国税不服審判所その他の組織の公式見解を示すものではありません。

税金に関する処分への不服申立て3種類

税金に関する処分への不服申立てには、次の3つの手続があります。

  • 再調査の請求(処分庁に対する申立て)
  • 審査請求(国税不服審判所に対する申立て)
  • 訴訟(裁判所に対する民事・行政訴訟)

再調査の請求

処分を行った税務署長等に対し、その処分の見直しを求める手続です。

再調査の請求を経ずに国税不服審判所へ直接審査請求をすることもできるため、事案に応じて、どの手続を選択するかを検討する必要があります。

〇審理の体制

処分を行った税務署長等が、提出された主張や証拠などを踏まえて、改めて処分の適否を検討します。

実際の審理は、原則として税務調査そのものを担当した職員とは別の職員によって行われますが、処分を行った行政組織の内部で再検討する手続である点が、審査請求との大きな違いです。

〇メリット

審査請求や訴訟と比較すると、比較的早期に処分の再検討を受けられる可能性があります。

争点が比較的限定されており、事実関係や証拠を追加して示すことで処分庁自身による見直しが期待できる事案では、手続を選択する意味があります。

〇デメリット

処分を行った行政組織自身が改めて処分を検討する手続であるため、処分庁とは別の第三者的機関が審理する審査請求とは、審理の性質が異なります。

また、再調査の請求を選択した場合には、その後さらに審査請求を行う可能性もあるため、最終的な解決までの手続全体を見据えて選択する必要があります。

〇実務上のポイント

再調査の請求においても、「もう一度調べてもらえば処分が見直される」と考えて受け身で対応するのは適切ではありません。

処分のどの事実認定又は法令適用に問題があるのかを明確にし、その主張を裏付ける客観的な資料を整理して提出することが重要です。

特に、税務調査段階で十分に提出されていなかった証拠がある場合や、処分の前提となった事実認定に誤りがある場合には、その点を具体的かつ論理的に示す必要があります。

審査請求

税務署長等が行った処分について、国税不服審判所長に対して取消しや変更を求める手続です。

再調査の請求を経ずに、当初から国税不服審判所に審査請求をすることもできます。また、再調査の請求を行った場合でも、その決定後の処分になお不服があるときは、審査請求を行うことができます。

〇審理の体制

国税不服審判所は、国税庁の特別の機関として設置された、第三者的な裁決機関です。

審査請求事件では、国税審判官等が原処分庁と審査請求人双方の主張を確認し、必要な調査・審理を行った上で、国税不服審判所長が裁決を行います。

国税審判官には、中立性を担保するため、国税職員出身者だけでなく、弁護士、公認会計士、税理士といった民間専門家が登用されており、国税審判官の約半数がこれら民間専門家で占められています。また、国税不服審判所長には裁判官が就任しています。

〇メリット

処分を行った税務署や国税局とは分離された第三者的機関による審理を受けられることが、大きな特徴です。

国税不服審判所長は、国税庁長官通達に示された法令解釈に拘束されることなく裁決することができ、原処分について事実関係と法令の両面から改めて審理が行われます。

また、裁判に比べれば手続は簡易であり、国税不服審判所が必要な調査を行う制度も設けられています。

〇デメリット

再調査の請求に比べると、一般に結論まで時間を要します。

国税不服審判所では、審査請求書が到達してから裁決までの標準処理期間を1年と定めています。そのため、早期の解決を最優先する場合には、手続に要する期間も考慮する必要があります。

〇実務上のポイント

審査請求では、争点を明確にした上で、原処分のどこに問題があるのかを、事実と証拠、法令、通達、裁判例、裁決例等を踏まえて具体的に主張することが重要です。

国税不服審判所には職権による調査権限がありますが、それを理由に納税者側の主張立証が不要になるわけではありません。

どの事実が争点の判断に重要なのか、その事実をどの証拠によって裏付けるのか、そして認定された事実に法令をどのように適用すべきなのかを整理し、判断者が検討しやすい形で提示する必要があります。

元国税審判官としての経験からも、主張を強く表現することより、争点、事実、証拠及び法令の関係を明確に整理することが重要であると考えています。

訴訟

国税不服審判所長の裁決を経てもなお原処分に不服がある場合には、裁判所に訴えを提起し、司法による救済を求めることができます。

税金に関する処分の取消しを求める訴訟については、原則として、事前に審査請求を経ることが必要です。

〇審理の体制

税務行政を行う行政機関から独立した裁判所が、当事者双方の主張と証拠に基づいて判断します。

再調査の請求や審査請求が行政内部の救済手続であるのに対し、訴訟は司法機関による審理である点に大きな違いがあります。

〇メリット

行政機関から独立した裁判官による司法判断を受けることができます。

事実認定や法令解釈について原処分庁や国税不服審判所とは異なる判断が示される可能性があり、課税処分の適法性について司法による最終的な審査を求めることができます。

〇デメリット

訴訟は、審査請求までの行政上の不服申立手続と比較して、一般に時間と費用を要します。

第一審だけで終了するとは限らず、控訴・上告が行われれば解決までさらに時間を要する可能性があります。

また、裁判手続に対応するため、事実関係と証拠を精査し、法的な主張を訴訟手続に即した形で構成する必要があります。

〇実務上のポイント

裁判では、原告である納税者側と被告である国側が、それぞれ主張を書面で提出し、証拠に基づいて争います。

したがって、「処分に納得できない」というだけでは足りず、原処分のどの事実認定又は法令適用が違法であるのかを明確にし、それを裏付ける証拠と法的根拠を示すことが必要です。

また、訴訟段階になって初めて事実や証拠を整理するのではなく、税務調査や審査請求の段階から、将来訴訟になった場合に何が争点となり、どの証拠が重要になるのかを意識して対応することが重要です。

税金に関する処分への不服申立てにお困りなら

再調査の請求、審査請求、訴訟は、それぞれ審理を行う機関や手続の性質が異なります。

しかし、いずれの手続においても共通して重要なのは、処分のどこに問題があるのかを明確にし、客観的な事実と証拠とを整理した上で、それらを法令に的確に当てはめて主張することです。

また、不服申立ては、それぞれの段階を独立して考えるのではなく、最終的な審理までを見据えて一貫した方針で対応することが重要です。税務調査段階で行った説明や提出した資料が、その後の審査請求や訴訟において重要な意味を持つこともあります。

当事務所では、弁護士・公認会計士としての専門性と、国税不服審判所の国税審判官として多数の税務事件の調査・審理に携わった経験を活かし、事実、証拠、法令及び税務・会計上の影響を多面的に検討します。

単に処分への反論を強く主張するのではなく、「何が争点となるのか」「その判断に必要な事実は何か」「それをどの証拠によって示すのか」という観点から主張立証を組み立て、再調査の請求、審査請求及び訴訟の各段階に対応します。

課税処分の事実認定や法令の適用に疑問がある場合には、現在の状況と今後取り得る手続を整理した上で、対応方針をご検討いただくことができます。

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